副園長からの手紙

紫陽花(あじさい)
 6月になりました。1年の半分が終わろうとしています。日の入りも遅くなり、7時になっても空が薄明るく感じます。世界がどのような状況であろうと季節は、お構いなしに変わっていきます。

 みくま幼稚園には様々な草花が植えてあります。これは、紫陽花です。ぶどう組の前の花壇に咲いています。紫陽花は花に見えるところ花ではなく正確には萼(がく)とよぶそうです。葉っぱが変化した花を守る部分だそうです。

 色が鮮やかで、日々色が変わっていきます。土の酸度によっても色は変わります。みくま幼稚園には4種類ほどの紫陽花が咲いていて今が見頃ですが、 それぞれ、色も種類も違うので目の保養になります。子どもたちは、花をちぎっては取集して、「お母さんにあげるの」と伝えてくれます。(ちぎることは推奨してはいませんが)

 写真の紫陽花は、色も、濃いピンクで目立ちます。萼の部分が大きいのが特徴です。あまりみた事がないぐらい大きいので、ボリューム感があります。雨が降ると、水滴に花弁の色が映り込み。不思議な世界を作りだします。  紫陽花は育てやすい植物で、植木鉢に入れても大丈夫な植物です。ベランダ、玄関などにおいても長く咲き続け。歳を越して来年もまた咲いてくれます。

 春は、桜、秋は紅葉、みくまの庭には四季があります。有名な庭園や、観光地には見劣りしますが、幼稚園に来る機会があれば、足を止めて、お子さんと一緒にお花見をしてくださいね。


まだまだ続く・・・。
 2021年度が始まりました。去年と比べて、周りの状況は大きく変わりません。 むしろ、多くの園で職員や子ども達が感染病にかかり、休園したという知らせが多く寄せられるようになってきましまた。 幸いにも、当園では、感染症の発症は見られていません。これは各々ご家族の努力の賜物であります。また職員も感染予防を徹底しており、みくまの先生も一人一人、気をつけながら生活をしております。 

 健康管理、マスクの装着、手指消毒、室内の換気、今できる感染予防を実行しています。緊急事態宣言が出てから、人の接触を減らすということで、課外活動も制限させていただきました。 園長が日常をいかに安全に取り戻していくか、子どもの保育をどう保障していくのか、よく悩んでいます。全ての活動を無くすと感染の予防につながるわけですが、子ども達の保育は全く補償されません。逆に、子ども達の接触を増やせば良い保育ができるわけですが、感染予防には繋がらなくなります。

 先週から課外活動を再開しました。大人の目が届かない、近所の公園で遊ぶより、健康管理をした大人が指導する、課外活動の方がより安全ではないか、子ども達の日常をできるだけ、今までの生活に近づけることを考えるとやはり、課外活動を行う方が良いのではないか、色々悩まれた末の結論であることをご理解ください。

 コロナによる新しい生活様式はこれからも、まだまだ続くようです。でも、子ども達の成長は、待ってはくれません。子ども達の今しかない、幼稚園生活をなんとか充実したものにしていきたいと考えています。

幼稚園の先生の仕事
 園長先生が時々フッとしたことをつぶやく時がある。幼稚園の先生の仕事は、自分が小さい時のことをもう一度思い出す仕事ではないかと。小さい時どんなことを感じ、どんなことをしゃべっていたのだろう。今更、あっそうだった、と思い出せるわけではないが、子ども達の話に耳を傾け、遊んでいる様子を見ていると、いろいろ考えさせられることが出てくる。

 コロナウィルスの影響で子ども達と一緒にいる時間が増えている。大人の私達からすれば、想像を絶する発言をしたり、行動をする子ども達であるが、自分は小さい頃どのようにしゃべったり、感じたりしていたのだろうと、視点を変えて接してみてはどうだろうか。

 自分の思い通りに動いてくれない子ども達に、ついついイライラしてしまうことも多いと思うが、それは、相手が予想外のことをしてしまうからで、なるほどと動きの理由がわかってきたり、きっとこうしたかったのねと想像したりすると、イライラも減ってくるのではないだろうか。

 私達も、自分の子どもの頃を思い、きっとこんなふうに考えているのではないかしらと想像しながら、子ども達に寄り添って日々の保育を行っていきたいと考えている。

早くその日が来ることを願っている。

昔の子育て
 私の母は戦前生まれの7人兄弟の長女として生まれました。戦時中は、一番下の妹を背中に背負いながら、畑仕事をしていたそうです。おむつを替えたり、ご飯を食べさせたり、全て母の仕事だったそうです。私の祖母や親戚の子育てを見よう見まねで、赤ちゃんへの接し方、あやし方などを理解し、六番目七番目の子育てを手伝わされていたようです。昔のように家族が多ければ、少なからず同様の状況が見られ自然と子育てのテクニックを獲得していったのではないでしょうか。

 現在は、核家族化が進み、おばあちゃん、おじいちゃんと一緒に暮らす方は少なくなっています。ご近所付き合いも減ってきています。子育てのお手本を見る機会が激減しています。本で読んでも、ネットで調べても、一般的なことしか書いてないので、自分の子どもに当てはまっているか、判断が難しくなっています。でも、子どもの成長は待ってくれません。泣いたり怒ったり、お母さんを毎日困らせます。ついつい、子どもを怒鳴ったり、ひょっとすると叩いてしまったりするかもしれません。そんな時はどうしたらいいでしょうか?そんな時はまずは誰かに相談することです。近所の方でもかまいません。行政の相談窓口でもかまいません。そして、みくま幼稚園の先生でもかまいません。誰かに相談してください。一人で悩むことが一番良くないことだと考えています。

 人に話しするという事は、頭の中で一旦整理されますので、話すだけで、心は落ち着く場合があります。また、子育てのプロのヒントは、困りごとの何らかの手助けになる事でしょう。子どもを怒鳴りつけた後、しまったと思い返すだけではなく、どうしたら、そんなことを減らすことができるか、いろいろ考えてみて下さい。

コロナの後先
 コロナによって、「新しい生活様式」という言葉が盛んに使われるようになりました。その中に人と人との距離を保ちましょうということが強く言われています。いわゆるソーシャルディスタンスです。

 プロ野球ではハイタッチが禁止され、肘どうしを合わせたり,拳骨を合わせたりして喜びを分かち合ったりしています。会議は、zoomというアプリが注目を浴びオンラインで行われることが当たり前のようになり、在宅勤務の方も増えてきています。離れる事が良しとされ、それが当たり前のことになってしまうかもしれません。大人はそれでも、人と人とのつながりを意識することができるのでそれを楽しむことができますし、つながりを意識することができます。

 では、子どもはどうでしょう。まだまだ、未熟な事が多いため、いろいろな情報を全ての感覚を使って吸収しようとします。ライナスの毛布をご存知でしょうか。スヌーピーの漫画に出てくるピアノの上手な子どもですが、いつも毛布を手放すことができないのです。心配なことや辛いことがあると、その毛布をぎゅーっと抱きしめてしまいます。そうやって、不安を乗り越えていきます。子どもは、目、耳、触った感覚など、不安をなくすためたくさんの感覚を使います。人と人との距離を保つ事は子どもにとって良い状況とは思えません。

子ども達が人との関係を作り上げていくのも、聴覚、視覚、触覚、嗅覚全てを使って作り上げていきます。 今の時代だからこそ、もう一度子ども達との触れ合いの大切さを知っていただき、向かい合っていただければ良いのではないかと考えています。

小学校入学後の生活
年長の子ども達の小学校入学が目の前に迫ってきた。子どもの成長に喜びを感じる反面、ランドセルを背負って、自力で小学校までいけるのだろうか、ちゃんと勉強はできるのだろうか、心配は尽きない。小学校は、授業の時間は45分である。その間、先生の話に集中し、ずっと座っていなければいけない。家から帰ると、宿題をしなければいけない。国語であれば、漢字の書き取りと音読は、だいたい毎日出るようである。このような生活が始まるわけであるが、全ての子どもたちがすんなり馴染むとは限らないのである。

朝起きたら、急にお腹が痛いと言い出し、学校に行けなくなるかもしれない。授業中に寝てしまい、勉強が進まず、学校から呼び出しがあるかもしれない。宿題を一緒にやっても、全然終わらないかもしれない。

子育はそんなにすんなりいくものではない。親が思う通りに行くことは滅多にない。イライラして子どもを叱り飛ばしてしまうかもしれない。なんて悪い母親だ、子育てできない父親だ、と自暴自棄になってしまうかもしれない。悪循環はどんどん膨らんでいくものである。

園長先生がよく言われることばに「お付き合いは、幼稚園を卒業してからですよ。」とお母様に声をかけられているのをよく聞く。みくま幼稚園を卒園するということは、一生、みくまの卒園児であるという事である。子育てで困った事があればいつでも戻って来られる場所である。そのことことを忘れないで卒園していただきたい。

まずは大人から
毎朝、子ども達に「おはよう。」と声を掛けます。きちんと「おはようございます。」と返事をしてくれる子。下を向いて、黙って行ってしまう子と様々な表情を見せてくれます。挨拶をしてくれない子には、色々な事情があると思います。恥ずかしいという気落ちがいっぱいで、挨拶ができなかったかもしれません。朝からお母さんに怒られて、挨拶どころではなかったかもしれません。挨拶というものを知らないこともあります。

 みくま幼稚園は人の中で生きていく力をつけることを大切にしています。人の中で生きていくために挨拶はとても大切なものです。人と人との関係を潤滑にします。幼稚園であれば、「今日もよろしく、一緒に遊ぼうね」と言う気持ちを込めることができます。相手を敬う心が育ちます。園長の勧めで寮美千子さんの本を読みました。寮さんは、童話作家、小説家であります。たまたま詩を通じて少年院の更生プログラムに関わるようになった方です。少年院に入っている子ども達は、人との関わりが苦手な子が多いそうで、更生プログラムの中に挨拶の授業をしようと提案されていました。挨拶ができないので、わざわざ挨拶の練習をするのです。人と交わるための基本と考えられてのことだそうです。挨拶の大切さを考えさせられます。

 挨拶はどのようにして覚えていくのでしょうか。一人で勝手にできるものではありません。周りの大人の挨拶をする姿を見て、覚えていきます。つまり、親の日頃の生活が大切ということになります。親がきちんと挨拶をすれば、それを見て真似をするわけです。挨拶ができない子どもに「ちゃんと挨拶をしなさい。」というよりは、親が見本を見せてあげることが、挨拶ができる早道なります。自分に自信がついて、人前で声出せる力がついてくれば、すぐにできるようになります。まずは、大人からです。